コーポレート・ガバナンス

方針

当社は、豊田通商グループ基本理念において、「人・社会・地球との共存共栄を図り、豊かな社会づくりに貢献する価値創造企業を目指す」ことを企業理念として掲げ、良き企業市民としてこの理念を適法・適正に実現するための原則的な行動規範として「行動指針」を定めています。

この基本理念にのっとり、「会社の業務の適正を確保する体制」を整備することによって、当社グループ固有の価値観・信念・日々の行動原則である「豊田通商DNA」を継承・深化させ、顧客視点での価値創造を推進し、豊田通商グループの社会的使命を果たすことを目的に、「内部統制システム構築の基本方針」を定めています。

この基本方針を基に、さらなる経営の効率化・透明化、コンプライアンスの徹底、財務体質の健全化を積極的に推進しています。また、コーポレート・ガバナンスの充実が、企業の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上のために不可欠であるとする「コーポレートガバナンス・コード」の諸原則に当社はフルコンプライしていますが、実質的な内容に深化させるためのさらなる向上に向け、真摯に対応していきます。

ステークホルダーの皆さまに満足いただける付加価値の提供を行い、事業を通じて社会に貢献することが、豊田通商グループの持続的な成長を加速し、企業価値向上につながると考えています。

コーポレート・ガバナンス体制図(2024年6月現在)
コーポレート・ガバナンス報告書

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コーポレート・ガバナンスの体制

豊田通商は、経営の透明性および健全性の観点から監査役会設置会社の形態を採用し、経営の効率化と内部統制の強化を目的に執行役員制度を導入しています。

また、本部制による連結経営を推進しており、本部CEOが執行のトップとなる営業8本部に、コーポレート部門を加えた組織編成になっています。

取締役会長を非執行の取締役とし、取締役会の議長ならびに役員報酬委員会・役員人事委員会の委員長とすることで執行からの独立性を高めています。独立社外取締役が1/3以上を占める取締役会は経営上の重要事項の意思決定と業務執行の監督を担うことで、経営の健全化および取締役会の機能強化・質の向上を図ります。社外取締役の4名は、外国人や企業経営者からも迎える等、引き続き高度な専門的知見を有する識者を含み、女性も2名起用する等、ダイバーシティを強化しています。

本部CEOや、コーポレート部門各機能のトップには経営幹部が就くことにより、現場に密着したスピード感のある経営を実践します。また、高い専門性を発揮させるため、CFO、CSO、CHRO、CTO、CSKOを各機能の最高責任者として設置し、ガバナンス機能の強化を行うとともに任務と責任を明確にすることで、専門性の強化と意思決定スピードの向上を図っています。

豊田通商は、一般社団法人に日本経済団体連合会(経団連)が企業に推奨する「2030年 30%チャレンジ」活動に賛同しています。これは企業の重要意思決定機関である取締役会に占める女性の割合の向上を目的とするもので、2030年に女性比率30%を目標としています。

  1. CEO:Chief Executive Officer
    CFO:Chief Financial Officer
    CSO:Chief Strategy Officer
    CHRO:Chief Human Resources Officer
    CTO:Chief Technology Officer
    CSKO:Chief Safety & KAIZEN Officer

取締役会

2023年度開催回数:13回

取締役会は取締役8名(うち4名が社外取締役)で構成されており、経営上の重要事項について意思決定を行うとともに、取締役の業務執行を監督しています。さらに、定期的に営業本部の執行状況を営業本部CEOから報告し、モニタリングを行っています。社外取締役4名のうち3名は国内証券取引所が定める独立性基準を満たした独立役員として届け出を行っています。加えて、非執行の取締役会長が議長を務めることで、取締役会の独立性を高めています。取締役の任期は1年で、取締役会は原則月1回開催しています。

2024年3月期 取締役会決議・報告事項
テーマ 主な決議・報告事項
経営戦略
  • 経営メッセージ
  • 大きなテーマの経営議論のフィードバック
  • 株主還元方針
  • 中期経営計画ならびに年度利益計画
  • サステナビリティ推進
  • 本部・SBU・部の組織と体制
コーポレート・ガバナンス
  • 取締役会実効性評価
  • 役員人事・報酬
  • 統合リスク管理
  • 取締役会議案の年間予定
  • 監査役会指摘事項への進捗報告
  • 政策保有株式の保有意義の検証
  • 監査役、監査部の監査報告
  • IR活動報告
執行の監督
  • 決裁関連、利益計画の進捗
  • 競業取引および利益相反取引
  • コンプライアンスに関する状況報告
  • 投資の状況
  • 「内部統制システム構築の基本方針」関連
  • 安全報告
投融資案件
  • 電池事業関連ほか一定規模以上の投融資案件
その他
  • 安全とコンプライアンスの総点検
  • 主な規定の改定
  • 株主総会議案

取締役会実効性評価

実効性評価の概要

豊田通商は、継続的なコーポレート・ガバナンスの実効性の維持・向上を目的とし、取締役会の実効性評価を毎年実施しています。

実効性評価のプロセス
評価実施概要
対象者 全取締役(8名)および全監査役(5名)
重点テーマ さらなる取締役会の実効性向上
評価項目
  1. 1取締役会の構成
  2. 2取締役会の運営
  3. 3取締役会の議案・議論プロセス
  4. 4取締役会を支える体制
  5. 5取締役・監査役の評価等

実効性評価の結果

アンケート回答を集計した結果、全評価項目において、概ね肯定的な評価であり、取締役会の実効性は確保されていると確認することができました。

2023年3月期の課題を踏まえて、2024年3月期に実施した主な取り組み
2024年3月期で特定された課題と、課題を踏まえて設定した2025年3月期の対応案
フランス アフリカ統括会社CFAO本社訪問
アルゼンチン 炭酸リチウム精製工場視察

監督機能強化に向けた取り組み

社外取締役が経営の助言・監督機能を十分に果たせるよう、取締役会資料送付の早期化を行うとともに、取締役会事務局が毎回、提案部署と共に事前説明を行い、事業の内容をしっかり理解した上で、取締役会での議論に臨めるようなサポート体制を構築しています。

また、主に取締役会で検討した案件について、当社に対する理解を深めることを目的に、社外役員による現地視察を行っています。2024年3月期には、日本国内だけでなく、アフリカ統括会社のCFAO本社へ訪問し、コートジボワールのスーパーマーケット視察等、アフリカ事業の視察を行うとともに、米国の電池工場サイトの視察、アルゼンチンにある標高約4,000メートルに位置するリチウムの採掘現場および隣接する炭酸リチウム精製工場視察を実施しました。

さらに、社外役員が当社事業に対する理解を深めることを目的に以下の会議を開催し、社外の視点でのアドバイスをいただいています。

営業本部/海外極執行役員と社外役員による対話会 各営業本部、各海外極の執行役員から事業の状況や抱える課題等を社外役員に報告し、対話を行う。2024年3月期からは新たに海外極も対象に追加。2024年3月期は9回開催。
社外取締役と社外監査役による社外役員会 社外役員同士で自由闊達な意見交換を行う。2024年3月期は2回開催。
大きなテーマでの経営議論 取締役・監査役に加えて、副社長、関係する経営幹部・執行幹部が参加。経営課題の大きなテーマについて自由闊達に意見交換を行い、その結果を当社の中期経営計画に反映。
2024年3月期のテーマは以下の通り。
  1. 1組織再編について
  2. 2豊田通商DNA継承・進化プロジェクトについて
  3. 3社外取締役による基調講演

取締役会諮問機関(役員人事委員会・役員報酬委員会)

2023年度開催回数:役員人事委員会3回、役員報酬委員会1回

豊田通商は、取締役会の諮問機関として、「役員人事委員会」ならびに「役員報酬委員会」を設置しており、いずれも代表権を持たず業務執行に関与しない取締役会長が委員長を務めています。いずれの委員会も独立社外取締役3名と社内取締役2名の5名で構成されており、独立社外取締役が過半数を占めることで、客観性と透明性を高めています。

役員人事委員会では、取締役、監査役、経営幹部の選解任および人事案に関する審議、社長後継者育成計画の策定・運用、その他役員人事に関する重要事項について審議します。

役員報酬委員会では、当社の取締役の個人別の報酬等の内容の決定方針、役員報酬体系、株主総会に上程する役員報酬議案、その他役員報酬に関する重要事項について審議します。

<両委員会の構成メンバー>2024年6月21日現在

  1. 村上 晃彦 (取締役会長・委員長)
  2. 貸谷 伊知郎(取締役社長)
  3. 井上 ゆかり(独立社外取締役)
  4. 松田 千恵子(独立社外取締役)
  5. 山口 悟郎 (独立社外取締役)

監査役会

2023年度開催回数:14回

監査役会は監査役5名(うち3名が独立社外監査役)で構成され、社外の視点からのチェック機能を確保しています。各監査役は、社外を含む取締役、執行役員および会計監査人、さらには内部監査部門等と定期的に意見交換を行い、業務執行の適法化・適正化・効率化に努めています。監査役会は原則月1回開催しています。監査役による監査は、監査役会で承認され、取締役会で報告された監査方針および計画に基づき、コンプライアンスの対応、リスク管理体制を中心とした内部統制状況を重点として取締役の職務執行の監査が実施されています。会計監査人の監査結果の相当性についても監査が行われています。また、社外監査役を含む監査役の職務を補助する専従スタッフを配属しています。

スキルマトリックス

豊田通商は、社会・環境へ貢献する唯一無二の価値を創造し、「豊田通商ならでは」の事業領域を確立するために、これからの未来を描き、「次の新しいステージ」へ踏み出し、“Be the Right ONE”を追求していきます。その実現に向けて、取締役会がその意思決定および経営の監督を適切に行うために、当社の取締役および監査役として備えるべき専門性をスキルマトリックスとして整理しています。

豊田通商の取締役・監査役が有している能力・経験は以下の通りです。

それぞれの専門性と豊富な経験に加え、ジェンダーや国際性等の多様性を確保した取締役会のメンバー構成により、さまざまなビジネス環境の変化に柔軟に対応できる体制をとっています。

委員会・会議体の機能と役割

豊田通商は、コーポレート・ガバナンスの強化を目的に各種委員会・会議体を設置しています。

主な委員会・会議体

委員会・会議体 役割 開催頻度
役員会議 経営幹部と執行幹部間の情報交換・共有・報告の場 月1回
統合リスク管理委員会 経営目標に関する全社的な重要リスクの特定及びその対応方針の協議・決定、また経営会議体へ全社的なリスクマネジメントに関する議題の提言を行う 年3回
特定貿易管理委員会 規制貨物等取引管理及び輸出入に関わる全体的な方向決めを行う 年1回
サステナビリティ推進委員会 サステナビリティを推進していくための体制を構築し、情報共有、実施計画に関する討議、活動推進状況についてのモニタリングを行う 年1回
投資戦略会議 投資戦略の協議を行う 月1回
投融資委員会・協議会 投融資案件の協議を行う 投融資委員会 月3回
投融資協議会 月4回

役員の報酬等の額またはその算定方法の決定に関する内容および決定方法

1.取締役の報酬制度の概要

当社の取締役の報酬は、基本報酬としての固定報酬と、業績連動報酬としての賞与および譲渡制限付株式報酬で構成しています。

ただし、社外取締役は業務執行から独立した立場であることから、固定報酬のみを支給し、賞与および譲渡制限付株式報酬は支給しません。

2.取締役の個人別の報酬額の決定方法

当社は、取締役会の諮問機関として「役員報酬委員会」を設置しています。その客観性および透明性を高めるため、同委員会においては業務執行に関与しない取締役会長または取締役副会長が委員長を務め、独立社外取締役が過半数を占めるメンバー構成としています。

役員報酬委員会は、当社の取締役の個人別の報酬等の内容の決定方針(以下「本方針」という)、役員報酬体系、株主総会に上程する役員報酬議案、その他の役員報酬に関する重要事項について審議します。取締役会は、役員報酬委員会の審議結果を踏まえ、本方針および株主総会に上程する議案を含む役員報酬に関する重要事項を決議します。

取締役会は、固定報酬および賞与に係る取締役の個人別の報酬額の決定を柔軟かつ機動的に行う観点から、社長・CEOへ、その決定を委任し、社長・CEOは取締役の個人別の報酬案に関する役員報酬委員会の各委員からの意見聴取結果も踏まえ、本方針に従って取締役の個人別の固定報酬額および賞与額を決定します。また、譲渡制限付株式報酬に係る個人別の報酬額は、取締役会において決議します。

3.固定報酬、賞与および譲渡制限付株式報酬の割合の決定に関する方針

社外取締役を除く取締役の固定報酬と、業績連動報酬(賞与および譲渡制限付株式報酬)との比率は、前事業年度における連結当期利益(親会社の所有者に帰属)の額が増加するに従い、業績連動報酬の割合が高くなるものとします。業績連動報酬に占める賞与の比率(以下「賞与比率」という)と譲渡制限付株式報酬の比率(以下「RS比率」という)は、役員報酬委員会の審議結果を踏まえ、役割や職責に応じて取締役会において決議します。

4.固定報酬および賞与の額の決定に関する方針

取締役の固定報酬は月額報酬とし、在任中、定期的に支給します。個人別の固定報酬額は、業界他社の報酬データ等をベンチマークとし参考としながら、取締役の役位とその職責を勘案し、妥当な水準を設定します。

賞与は、各事業年度に係る株主総会の終了後、一定の時期に支給します。個人別の業績連動報酬額は、取締役が豊田通商グループ会社全体の最終利益(臨時的、偶発的に発生した収益および損失を含む)に対して責任を負うことから、前事業年度の連結当期利益(親会社の所有者に帰属)を指標としています。各事業年度における個人別の賞与額は、役位毎にその指標に応じて定められる業績連動報酬額に「賞与比率」を乗じて算出される額に対し、前事業年度終了時点の社長が必要に応じ職責と担当業務の遂行状況を踏まえ賞与額の提案を行い、その提案を基に賞与支給時点の社長・CEOが決定いたします。

固定報酬および賞与の総額は、株主総会において決議された限度額の範囲内とします。

5.譲渡制限付株式報酬の額の決定に関する方針

譲渡制限付株式報酬は、各事業年度の定時株主総会の終了後、一定の時期に付与します。ただし、当該取締役に譲渡制限付株式報酬を付与することが相当でない事由がある場合には、当該取締役の業績連動報酬の全額を賞与として支給するものとし譲渡制限付株式報酬は付与しないものとします。

譲渡制限付株式報酬の付与のために支給する報酬は金銭債権とし、その総額は取締役の固定報酬および賞与とは別枠で株主総会において決議された限度額の範囲内、割り当てる株式の種類は普通株式(割当契約において譲渡制限を付したもの)を発行または処分、その総数は株主総会で決議された限度数の範囲内とします。

各事業年度における個人別の譲渡制限付株式報酬の支給額は、役位毎にその指標に応じて定められる業績連動報酬に「RS比率」を乗じて算出し、取締役会において決議します。

6.監査役の報酬

監査役の報酬については、監査を適切に行うため独立した立場であることから、固定報酬のみを支給しており、その報酬額は、株主総会において決議された限度額の範囲内において監査役の協議によって決定しています。

当社が保有する株式に関する事項

政策保有に関する方針

当社の企業価値の持続的向上には、さまざまな企業との取引関係・協業関係の維持・強化が必要となります。当社は重要取引先・協業先として当社の中長期的な視点から有益かつ重要と判断する投資株式(政策保有株式)を、限定的かつ戦略的に保有することとしています。年1回取締役会に保有継続の可否および保有株式の見直し結果を報告し、その中で保有継続意義のない株式については縮減を進めています。

政策保有の適否の検証

資本コストをベースとした当社独自の指標を用いた収益性や相手先との事業関係構築、維持、強化、地域や社会発展への貢献・協力等を総合的に勘案し、保有継続の可否および保有株式数を見直しています。

必要に応じて、保有先の企業と企業価値の維持・向上や持続的成長を促す観点からの建設的な対話を行い、経営上の課題の共有や問題の改善につなげています。

議決権行使に関する考え方

当社は投資先企業との取引関係・協業関係の維持・強化に努めながら、あわせて投資先企業の中長期的な株主利益や企業価値向上に資する様々なコミュニケーションを当該企業と行うこととしております。この視点に立ちながら、当社内の各投資の主管部署が各社の状況を多面的かつ総合的に勘案し、適切な議決権行使を行うこととしています。

政策保有株主から売却の意向を示された場合の対応方針

当社は、当社の株式を政策保有株式として保有している会社から売却の申し出があった場合には、この売却を妨げません。またその場合において、当社が当該会社の株式を政策保有株式として保有している場合には、当社の政策保有・縮減に関する方針に基づき、適切に対応し、株式の縮減に努めてまいります。

関連リンク